『毎日食べたいお菓子のヒミツ』 青木松風庵・取材協力


お菓子は人生に寄り添うもの。

この本にはそんな風に人々の毎日に寄り添い、少しでも良い物を届けたいという
青木松風庵で働く人々の信念が詰め込まれている。

”おしゃれ”という名前の人気のいちご大福があるお店。
読む前のイメージはそれだった。
群馬県から見ると大阪は遠く、文化や食の好みも違う
関西方面のお店のことはあまり詳しくない。
しかも関西方面でまず最初に目が行ってしまうのは和菓子の最盛地で
ある京都ばかり。
そんな中でこの本を手に取ったのは表紙のどら焼き(関西ではみかさ)が
あまりに美味しそうだったからだ。

(余談ですが…
ちょうどこの頃、お店で毎日作るどら焼き(私が生地をこねさせてもらっていた)が
上手く焼けないことが多く、何が悪いのかをひたすら考えていました。
不器用な私はすぐにはそれを修正することが出来ず…。
ならば、と色々なお店のどら焼きを買ったりレシピ本の配合を見たりして
なにかしらの改善を図ろうとしており、
そこでたまたま見つけたのがこの青木松風庵の
”毎日食べたいお菓子のヒミツ”でした。)

写真を見るだけでも伝わってくる、きめ細やかな皮。
中に挟まれている餡は程よい粒感がありツヤツヤ。
これはもう美味しいに違いない、そう思わせるどら焼きはなんと毎朝5時から、
多い日では1日に3万個以上作られるというからなんとも驚きだ。
材料は生地に使う小麦粉から主役の餡を作る小豆まで全てにこだわり、
一切の手を抜かない。それなのに値段は誰もが手に取りやすい価格になっている。
しかも常に新鮮な作りたてをお客様に提供できるように、工場からの
トラックは1日3便。
38店舗どこへ行っても変わらぬ美味しさを届けたいという
代表取締役の青木さんの信念がどこまでも揺るぎない。

たくさんの商品があればそれぞれに力が分散してしまって、どこかが”ヌケ”に
なってしまいそうなものだが、青木松風庵のお菓子にはそれがない。
一つ一つがこだわりぬかれて作られている。
昔からのレシピを引き継ぐだけではなく、より良い物を作りたい
という思いから常に作り方も見直されているようだ。

しかも、そんな抜群のお菓子たちをさらにお客様に気持ちよく
買って頂きたいというおもてなしの心が素晴らしい。
奥様のまゆみ専務が始められたという”一期一会の思いを込めた「お茶出し」”の
お話が私はとても素敵だと思う。
お店に来てくださる方に少しでも安らぎの時間を過ごして欲しい、
そんな思いやりの心が青木松風庵の販売員の方たちに宿っているからこそ、
多くの人々に愛されるお店になっているのだと思う。

そして何よりもこれらの良さを生み出していると思われるのが
青木松風庵では働く人たちの事を「従業員」とは呼ばず、
同じ志を持つ「仲間」と呼ぶ(p128)ということではないだろうか。
ここで働く人は工場の一つの駒などではなく、皆が大切な役割を担っていて
上下関係や他店舗などという枠組みを超えた”仲間”なのだ。
それはもうこの表紙のどら焼きの様に、丸い一つの輪=和となって
大きな暖かさをお客様に伝えていくに違いない。

和菓子は、”和む”菓子と書く。
人々の毎日にそっと寄り添い、和ませる。
そんなお菓子を私も作っていきたいと思う。


【文責 加部 さや】


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『毎日食べたいお菓子のヒミツ』
青木松風庵・取材協力 幻冬舎


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