『発酵おやつ』 山田奈美・著
体に優しいおやつとは・・・
ここ数か月、私は自分の体を使って実験をしていた。
事の始まりは10月の頭、突然大量の吹き出物ができ、肌が荒れ始めたこと。
私はどちらかといえば肌荒れは少ないほうで、過度の疲労やストレスがない限り、思春期を終えて数年、あまり肌荒れに悩まされることはなかった。
ところが、だ。
今まで大人ニキビと言われる吹き出物が少し、口周りや顎の周囲に出来ることはあってもおでこ(額)に吹き出物が出来たことはほとんどなかった。それなのに、突然恐ろしい(という言葉が似合うくらい)ほどの大量の吹き出物が額にできた。
しかも一度きりではなく、後から後から繰り返す、原因不明の大量の吹き出物。
衝撃を受けた。
原因は?
すぐさまネットで検索する。
髪の毛が額にかかっているせい?
洗顔料やシャンプーの洗い残し?
寝不足?
はたまた年齢の変化によるもの?
栄養の偏り?
調べていくと、大人ニキビには様々な要因が関わっていた。
なるほど、上に挙げたどれもが可能性があるらしい。
まず、簡単に出来ることから実践することにした。
- 前髪を下ろさず上げるようにし、洗顔やシャンプーのやり方を改善する。担当の美容師さんに相談し、状態を見てもらうも特に洗い残しなどではない様子。
- 基礎化粧品を見直す。乾燥が原因の場合もあるらしく、ケア方法を変えて出来るだけ乾燥を防ぐようにした。
- 睡眠時間を普段より30分増やしてみる。
- 年齢的な要因を探す。
- 食生活を見直す。この頃何を食べていたっけ・・・?
ここで気が付いた。
最近、おやつを食べすぎていないか…?
一日に三つも四つも甘いものを食べる生活。職業柄他店のお菓子も食べるし、自分で作ったものも味見をする。
でも気が付けば甘いものでおなかがいっぱいになってしまうような日もあった。
しかも今年は9月頃まで猛暑が威力を発揮し、食欲がないとつい食べやすいもの(甘くて柔らかいもの)を選んでしまっていた・・・
これだ!
なおも調べると、厳密ではないが肌の調子は約一か月前に食べたもので出来ていることを発見する。
さらには砂糖を多く含む食品は消化の際、ビタミンB群を多く消費するという。
ビタミンB1は肌を作るうえで欠かせない栄養素であり、美肌成分ビタミンCを運ぶ際にも活躍する。ビタミンB群は足りないと疲労を感じやすくもなる。
砂糖を構成するブドウ糖は脳の栄養源であり、絶対に必要なもの。
それでも何でも食べすぎれば体には毒になる。
(上の情報には諸説あり、必ずしも砂糖がビタミンやカルシウムを消費するわけではないそう。食事は何でも偏らずバランス良く食べることが大事です)
もしかして夏頃からの砂糖の取りすぎが原因・・・?
一説を立てて、翌日から砂糖の多く含まれるおやつを食べる量を減らした。代わりにたんぱく質や野菜などを多めに取って空腹時をしのぐようにした。
栄養剤などで不足したと思われるビタミン類も補充する。
栄養剤などで不足したと思われるビタミン類も補充する。
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そして現在一か月半が経過し、肌荒れはほぼ完治した。
砂糖だけが原因ではなく、バランスの良い食事が影響したことは明らかだが、やはり食事を甘いものに置き換えるような生活ではいけない。
おそらく自分の許容範囲を超えて甘いものを食べすぎていたのだろう。
反省・・・
今は以前より甘いものを食べなくなり、異常に甘いものが欲しい、という感覚もなくなった。
でも甘いものは栄養の観点だけではなく、日々の癒しでもある。
おそらく自分の許容範囲を超えて甘いものを食べすぎていたのだろう。
反省・・・
今は以前より甘いものを食べなくなり、異常に甘いものが欲しい、という感覚もなくなった。
でも甘いものは栄養の観点だけではなく、日々の癒しでもある。
そんな時、砂糖を使ったお菓子以外に食べられるものがあったら・・・
そう考えていた矢先、この本を見つけた。
薬膳料理家、食用研究家の山田奈美さんが作った”発酵おやつ”のレシピ集。
砂糖を使わず、甘酒や甘麹、みりんを煮詰めたものやフルーツの甘味でお菓子を作る。
また、材料を膨らませるのは発酵食品で行う徹底ぶり。
製菓衛生士免許を取得する際、お菓子作りに使われる添加物についても基礎から勉強した。日本で使われる添加物には厳密な基準値があり、何度も実験され人体の影響のないものだけが現在も使われている。
その為私は添加物が人の体に害を及ぼすとはあまり思っていないけれども、海外製の食品などでは日本とは違う添加物が使われていることもあり確かに少し不安を覚えることもある。
その為私は添加物が人の体に害を及ぼすとはあまり思っていないけれども、海外製の食品などでは日本とは違う添加物が使われていることもあり確かに少し不安を覚えることもある。
小さなお子さんのいるお母さんや、アレルギー体質を持った人ならなおさら気になるだろう。
その点この本で紹介されているお菓子はあくまでも自然に、身近で昔から食されてきた材料を使うことで”毎日食べても安心なおやつ”を実現しているのだ。
特徴は甘酒や甘麹、塩麹を使っていること。
発酵食品が人体へいい影響を及ぼすというのは広く知られているが、それをお菓子の甘みや食感に利用するというのは珍しく新しい。
特徴は甘酒や甘麹、塩麹を使っていること。
発酵食品が人体へいい影響を及ぼすというのは広く知られているが、それをお菓子の甘みや食感に利用するというのは珍しく新しい。
面白いのは和菓子の肝であるあんこにも、砂糖を使っていない点だ。
甘酒あんこ
みりんあんこ
発酵あんこ
それぞれゆでた小豆に、甘酒やみりん、米麹を使って甘みととろみをつけている。
お酒を飲める人は日本酒の甘口を想像してみても。
お酒を飲める人は日本酒の甘口を想像してみても。
p70で紹介される酒粕まんじゅう、こちらも甘酒を利用して生地をこね、中には甘酒を使った甘酒あんこが入る。
膨らませるのは重曹ではなく、酒粕の自然な発酵の力。
膨張剤を使わなければふっくらとした生地は完成しないけれども、素朴なやわらかさを持った生地となる。
もちろん、和菓子と言ったら透き通るような白砂糖の甘さというイメージもあるかもしれない。
でも毎日食べるおやつの中に、こんな自然な甘みで作られたものがあってもいい。すべてではなく、時折母や祖母の手作りおやつを食べた時の感覚を思い出すようにこんなお菓子を食べるのも素敵だ。
ミネラルを含まない精製された糖類が体に悪い、というのは科学的に証明されたわけではない。
人の食生活は様々なもので出来ていて、ただそれだけ、その一品だけで体調が左右されるというものでもない。
私の経験した肌荒れもすべての人に起こる訳でもなく、一過性のものに過ぎない。
砂糖を減らしたから治った、というわけでもおそらくないと思う。
ただこの一連の経験を踏まえて、美味しくてさらには食べる人の体調に寄り添えるようなお菓子とはどんなものかと考える機会になった。
より良い材料をより良い状態にし、お菓子として届けていく中で自分自身の反応を見ることも時には何よりもの勉強になるものである。
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