2013年6月20日木曜日

『まっちんのおやつ』 町野仁英・著


まっちんとの出会いは2006年
妻と雑貨屋さんでお買い物中だった


大橋歩さんの素敵な季刊誌「Arne」
その中に和菓子が表紙の15号を発見
中を見ると…


雑穀豊富なオリジナリティー溢れる桜餅が
たくさんの写真で臨場感たっぷりに紹介されていました
一応和菓子業界に身を置く者としてだれか気になる…


「まっちん」って誰!?

私が日ごろ読んでいる業界紙などにはまったく登場しない青年
沖縄の製糖工場で働いたり
サトウキビを刈る仕事をしたり
アイガモ農法の生産者のお手伝いなどを重ねる中で
正統派の和菓子修業とはまったくちがう
大地や農業に感謝をささげるような菓子を独学で作り始めたという

参照:伊賀タウン情報「和菓子に夢 自宅に店開く」

まっちんより腕が立つ職人はたくさんいると思う
でも大橋歩さんがArneに登場させた唯一の和菓子職人は
他のだれでもない「まっちん」ただひとり
村上春樹さんや大貫妙子さんと同じステージに彼はいる

大橋さんが紹介した「わらびもち」をつくるまっちん
この記事に私はどれほど勇気づけられたかわからない

私自身もわらびもちが大好きだったが
自分で作ろうとチャレンジしたことはなかった

小石川の菓匠のわらびもちが大好きだった
他店で修行中の弟子でもない私を
仕事場に招き入れては和菓子に賭ける情熱を語って下さった

冬でも汗だくでわらびもちを煉るその仕事ぶりは
ちょっと神々しく見えた
あり得ないほどやわらかいわらび餅とこしあんの絶妙な調和
自分なんかには作れないんじゃないかと思っていた

そんな気持ちの時にこの記事に出会った
素人さんのような家庭の道具でわずかな量を作っている
しかも誰から教わったわけでもなく独学で!

2006年、私自身も覚悟が決まりわらびもちを作り始めた
長年憧れ、食べ続けてきた想いを込めて


2010年、愛読しているCafeSweets誌に
まっちんが再び登場しているのを発見


まっちんは「招聘」されていた!
(そう記事に書いてある)
全国にあまたいる和菓子職人のうち
「招聘」される方がいったい何人いるだろうか?


そして2013年 まっちんは出版した!
ゼロから独立起業してたったの10年、37歳の若さで

本書の特徴の一つは「写真」だと思う
農家の台所で撮影したような「ほの暗さ」が
まっちんの菓子の雰囲気と良く合っている
同時期に刊行された「日菓」さんの写真と比べると
その違いが鮮明になる

一番心を打ったのは「粒あん」に添えられた文章
あんこ作りを独学していたころ
たくさんの本を見て、たくさん試しました。
でもあるときから本をみるより
「もっと豆をみないといかん」と思ったのです。

まさにその通りなんです。
本に書いてあるレシピは音楽でいえば楽譜
演奏する者の技量と志が
菓子の質を決めるんだと思う

農業や農家の皆さんへのあたたかい想い
大地への感謝を捧げるような菓子が
まっちんの菓子

またまっちんを支えたサポーター
「チームまっちん」の存在も素晴らしい
武骨で不器用そうな彼を出版にまで導いたのは
彼の魅力+チームまっちんの真摯な応援だと思う

少しだけリクエストがあるとすれば
・レシピ本にしては工程写真が少ない
・Arneで表紙を飾った雑穀でつくる桜餅がいない

読むたびに背中を押してくれる、心あたたまる一冊です

【文責 宮澤 啓】

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町野仁英・著 WAVE出版


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おやつと聞いて、人は何を思い出すだろうか。

おせんべいにスナック菓子、チョコレートやケーキなんて
事もあったかもしれない。
けれど、私が一番に思い出すのは
母や祖母の作ってくれた素朴な手作りのおやつだ。

忙しく家事をこなしていた母が手作りのおやつを
作ってくれることはあまりなくて、
使う材料だって本当に粉と水、砂糖だけ、
なんてシンプルなものが多かった。
それでも、おやつを作る母の後ろ姿にはいつだって
ワクワクしたし、「出来たよー」なんて言葉と共に
運ばれてきたおやつには思わず笑顔になる
美味しさと暖かさが詰まっていた。

まっちんのおやつ』は、あの頃の気持を思い出させてくれる
そんな一冊だと思う。

表紙の帯にも書かれているように、”まっちん”の作るレシピには
凝った材料などは使われていない。
使われているのはどこの家にでもある
身近な材料だけ。

料理本やお菓子のレシピブックでよくある、
「さあ作ろう」と意気込んでも
材料が足らなくて買い出しに行かなくてはならない、
なんてことはこの本にはない。
思い立ったらすぐその時に、作りたいお菓子が作れるのだ。

そしてそんな、「今にも作りたい」
という気持ちをさらに盛り上げてくれるのが
まるで目の前に出来立てのお菓子が
並べられているかのような
生き生きとした大きな写真だ。
落ち着いた光と色合いで彩られたお菓子からは、
親しみすら伝わってくる。

「このお菓子を自分はどんなふうに作ろうか」
なんて、考え始めたらもう
じっとしてなんていられない。
この本を相棒にして、
さっそくお菓子作りの始まりだ。

「今日のおやつはなぁに?」
そんな子どもたちの声と家族の笑顔の中心に、
まっちんのおやつ
があることはもう間違いない。


【文責 加部 さや】

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