『新味和風デザート和風菓子-甘味の世界を拡げる』 大田忠道・著



おやつではない、デザートとしての和菓子。
そんな新しい立ち位置の和菓子を
発見させてくれたのがこの本。
日本料理の料理人であり、
フジテレビ「料理の達人」にも出演された
大田忠道さんが著者の、
日本料理の観点から作られた
食事の後のデザートとしての
和菓子を紹介したのが本書だ。

普段、和菓子の世界で働いていると
つい和菓子はお茶請けとしての存在で、
料理のデザートとはかけ離れたものとして
認識してしまいがちだ。
確かに、和菓子としてぱっと思い浮かべるものといえば
まんじゅう、大福、練切など
どれも菓子としての存在感が大きく
なかなか食事の後のデザートには思い当たらない。

しかし、この表題の通り、甘味の世界は
ここまで拡がるのかと思うほど、
見たことも考えたこともなかった
デザートとしての和菓子の数々に
私は仰天した。

この中で実際に作ってみたいと
思った数品を紹介させていただく。

”トマトのトマト”は、本当に丸のままの
トマトと見紛うほど、
見た目はトマトそっくりのデザートだ。
材料にはこれまた和菓子では
あまり用いられない
トマトジュースやトマトのピューレが
使われていて、
さらにはトマト嫌いの人でも
食べられるというから
ますますその味が気になってしまう。

”日向夏ゼリー寄せ”は、日が夏に向かう
今の時期にピッタリの涼やかなもので、
ゼリー寄せという料理での手法も
材料が果物になれば途端に
一皿のデザートへと変化する。
このゼリーがゼラチンでなく、寒天や
水饅頭ならばどうなるだろうと
和菓子づくりの血が騒ぐ。

そして最近人気のある、
種子島産の安納芋を使った
”安納いものロールケーキ”
洋菓子のようでありながら和の素材を
使うことでしっかりと
和風のデザートになっている一品。
安納芋は焼くと大変甘くなり、
ねっとりとしたクリームのような食感になるそうで、
それを生クリームに混ぜたら
どちらの美味しさも引き立てられ、
最高のデザートになるのではないだろうか。
安納芋の出回る季節になったら
ぜひ作りたい。

おやつやお茶請けとして様々な人に
親しまれてきた和菓子。
それが料理のデザートとなることで
また新たな魅力が生まれている。
どんな材料で、どんな形になるのか。
和菓子の可能性は無限大だ。

【文責 加部 さや】


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大田忠道・著 旭屋出版MOOK



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