『薬膳お菓子 季節と身体によりそうお菓子作り』 辰巳 洋・大村和子 著


好きなお菓子を食べることが、
身体にも良いことだったら・・・

そんなふうに考えたことはないだろうか。
お菓子といえば油や砂糖が使われていて
身体にはあまり良くないものと思いがちだ。
実際に私も中学生くらいの頃、
駄菓子をごっそりと家に買って帰って
親に怒られたような記憶もある。
(※駄菓子には添加物・着色料などが多く含まれて
いるものもある為、あまりお勧めできません。)

しかしお菓子の材料の中には身体に良い
効能をもたらすものもたくさんあるのだ。
この本ではそんな身体に良い効果をもたらす食材、
=薬膳を使ったお菓子が紹介されている。

薬膳という言葉を調べてみると、
生薬の原料や材料として用いられる海松子、
金針菜、枸杞、紅花、山査子、銀、大棗、蜂花粉、百合、
竜眼肉等を用いた料理のみならず自然界に
あるものすべてを食物と考え、日本語の造語である
医食同源のもとに個々人ごとに異なる体質や
臓器に適した食物をどのように摂ることが効果的かを
予防医学の見地に立つ中国医学による帰経(きけい)
効果がある料理。(Wikipedia参照)』
とある。

説明だけでは難しいので、身近な例を上げると、
夏はすいかやきゅうりなど水分の多い食べ物を食べる。
これは薬膳でいうところの寒性といって
身体を冷やす(体の熱を取る)性質を持っているのだ。
逆に冬や風邪を引いた時に生姜を入れた飲み物を
摂るのは熱性という薬膳の効用を利用している。

夏に和菓子店でよく見かける『くず桜(本書p39)』も
見た目の涼しさだけでなく、葛粉の清熱効果を利用した
お菓子なのだそう。本書ではさらに清熱解暑の働きを持つ
緑豆が加えられている。緑豆は甘味で口の渇きを
癒やす効果もあるようだ。

また薬膳は体質を改善したり、不調を
調節する機能も持っている。
寒がりだったり、胃腸が弱かったり、
人によってさまざまな違いのある体質。
また現代では避けては通れないストレスや、
長時間のPC作業による目の疲れなどによる不調。
これらも薬膳を効果的に利用することによって
和らげることが出来るそうなのだ。

私の場合は毎年血液検査で引っかかる軽度の貧血症。
同じように多くの女性が貧血気味であるとも言われている。
これは薬膳の言い方では血虚といい、ほうれん草や
落花生、にんじんなどが勧められている。
本書p79の『水牡丹』も、黄身餡に落花生の
ペーストが練り込んであるお菓子。
落花生は肺や膵臓を潤して補う効果を持っていて、
貧血や疲れ、血色の悪さに効果があるのだそう。

先のストレスに関しては、p115の『みかん』という
みかんの餡を姜黄(ターメリック)を加えた求肥で
包んだお菓子がおすすめだ。
みかん餡に使う白餡の材料である白いんげん豆は
胃腸を補益し、余分な水分を乾燥させる効果があり、
求肥に使う白玉粉は胃腸を丈夫にし、疲れ、無気力、
食欲不振を改善させる。
また姜黄と呼ばれるターメリックはみかんと共に
体を温め、気の回りを良くして食欲を誘う効果があるのだそう。

このようにお菓子の材料として使われる食物の中には
食べることで薬となる効用を持つものも多く、
ただ単に身体に悪そうだからというイメージで
お菓子を生活から遠ざけてしまうのは勿体無い。
本書のように薬膳を取り入れたお菓子で
上手に健康を増進してみるのはどうだろうか。


【文責 加部 さや】


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辰巳 洋  大村和子・著 緑書房



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コメント

  1. 医食同源をお菓子で!
    そんなコンセプトの商品が20年前にはありました。
    横浜・大倉山の匠家花々亭さん。
    「薬膳菓子」のリーフレットまで作っていました。
    ネットで検索したところ、現在は閉店してしまったようです。

    「美味しい」と「体にいい」が一緒だったら素敵!
    という思いはあるものの、
    商業ベースで継続して成功した事例は
    まだないかもしれません。

    探せばどこかにパンフレットがあります。
    書評の情熱が冷めないうちに、
    美味しくて体に良いお菓子、
    是非挑戦してみてください。

    最初のコメントが身内でゴメンネ。

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