2013年9月18日水曜日

『手作りの和菓子』 堀 正幸・著


金塚さんの最新刊の書評書きたいと思ってから
実際に書き始めるまで3か月もかかってしまいました。

金塚さんの書籍が、
出版された時の年齢、時代、出版社や制作スタッフによって、
どのように違うのかまで知りたくなってしまったのです。

金塚さんの本は、写真が豊富で、きれいで、
初心者や少量しか作らない家庭の主婦でも、
なるべく失敗の少ないレシピで、製法で、
美味しく作って欲しいという想いに溢れていて…
宝だと思います、和菓子界にとって。

そんな金塚さんを、音楽の世界から
和菓子の世界に導いたのは
「図書館で出会った一冊の本」
だと様々なところで書かれています。

その本はいったい何?

どこにもその書籍の名前は書かれていませんが、
東京製菓学校HPインタビューで、
「東京製菓学校の先生の著書を図書館で見たのが、
製菓学校への入学のきっかけでした」
とお答えになっています。

東京製菓学校HP「卒業生紹介」より

金塚さんは1987年卒ですから、
それより前に出版されている、東京製菓の先生の本は、
ズバリこの本だと思います。

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プロが教える茶の間の菓子・茶席の菓子
堀 正幸・著 婦女界出版社


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失礼を承知で正直に書かせて頂ければ、
もう30年も前の本ということもあり、
写真が少なく、文章は多く、
初心者の方には少し難しい印象はぬぐえません。

活字も古風な書体で、
まるでプロ向けの和菓子大全集
「新和菓子大系」
のような雰囲気、オーラがある本です。

堀先生の著書ならば、
の方が圧倒的に読みやすいし、
後世に読み継がれる名著だと思います。

しかし!です。
一見色気のないこの本に魅せられて、
金塚さんは和菓子の世界にいらっしゃった。

他のどの本にもない魅力、色気があるからに他なりません。
それは、ズバリ 「前文」 だと私は思います。
一部ご紹介させていただきます。



 お菓子はただ買って食べるだけでなく、自分の好みのものを楽しみながら作って食べることができたら、と考えたことはありませんか。四季折々の美しい和菓子が家庭で手軽に作れて、訪れたお客様をもてなすことが出来たら、他家への贈物に使えたら、どんなに楽しいだろうと考えたことはありませんか。
 また、来客や親しい方々とのお茶会の菓子は、自分で工夫して手ずから作ったものを差し上げるのが、本来は料理と同じく最良のおもてなしです。
 和菓子作りは決して難しいものではありません。今まで馴染がなかっただけのことですが、何事も始めが肝心です。基本を大切に守ればどなたにでも簡単に美味しく作れることを知っていただくためにこの本を作りました。



長年、和菓子店や製菓学校で
後進の指導に情熱を注がれた堀先生が、
ここまで自信を持って
「和菓子作りは決して難しくありません」
と断言されたら
和菓子が大好きだけど
作った経験のなかった方にとって
どれ程励みになったか、はかり知れません。

現在主流のレシピ本からみれば、
少し写真が少なかったり、白黒だったりで、
色気の少ない本に見えるかもしれませんが、
詳細に読みこむと違う景色が見えてきます。

特筆すべきは「こしあん」の製法解説。
家庭で作る量で、道具で、
驚くほど美しく、美味しそうなこしあんではないですか!
凄いです。

レシピの量も、
あんこの炊き方から始まって、
お饅頭、求肥、練切、そぼろ、
鹿の子、羊羹、外郎、葛、
焼き菓子、蒸し菓子から、
干菓子、半生菓子まで、
圧倒されるほど多彩です。

私から見たら眩しすぎるほどの才能の菓匠が、
「家庭で作れる和菓子」
のために全身全霊を傾けてつくられた本です。

家庭で和菓子作りに挑戦したい方から、
そのような方に和菓子を教える立場のプロの方にまで、
是非とも読んでいただきたい
読みごたえのある一冊だと思います。

【文責 宮澤 啓】

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