『しばわんこの和のこころ2 -四季の喜び-』 川浦良枝・著



きっかけはこの一冊だった。

これは、私がこの職業に就くきっかけになった本。
最初に読んだのは中学1年生の時だった。
全く新しい環境、他の学校から来た
同級生たちに囲まれて、人見知りだった私は
なかなかクラスに馴染めなかった。
だけど1人でいるのは寂しくて、時間を持て余してしまう。
そんな時、せっせと図書館に通っては
いろいろな本を借りて退屈を紛らわせていた。
長い長い外国のファンタジーを借りて空想の世界に
浸ったり、好きだった動物のノンフィクションの物語に
感動したり、時には子供向けの英単語の辞書を
眺めたりもしていた。
そんな時出会ったのが、この『しばわんこ』シリーズ。
やわらかな曲線で描かれた挿絵と、
暖かな語り口に惹かれて、
図書館に本が返却されるのを待っては
続きを読むのを楽しみにするようになった。

日本の文化や生活様式、心のあり方などを
主人公である”しばわんこ”の日常に取り入れながら
紹介しているのがこの本の特徴なのだが、
その中で和菓子のことが紹介されているのが
この二冊目である本書。
”和菓子の思い出”というお話の中で、しばわんこを
含む登場人物たちが和菓子作りを体験する。
その様子がとても楽しそうで、
また出てくる和菓子もすごく綺麗で
何度も読み返すうちに”自分も和菓子を作ってみたい”
と思うようになった。
そして次の年、先生に頼み込んで
学校の許可範囲ではなかった高崎市の
和菓子店、『六郎』さんでの職場体験を実現してもらい
その思いは確かなものとなった。
この本のおかげで今の自分はあり、
この本と出会わなければ私はまったく別の人生を
歩んでいたかもしれない。

この本の存在に私はとても感謝している。
今、和菓子や日本の文化に少しでも興味がある人は
ぜひこの本を読んでみて欲しい。
そこから同じように和菓子の道を志す人が
現れたら大変嬉しく思う。


【文責 加部 さや】


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